ライ麦狼の寝床

このブログはフィクションであり、実在の (以下略

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「同じ空の下で」  □ 5 □

DATE: 2006. 05. 20 CATEGORY: 小説


 
<KK>
ふぅ、やっと修学旅行から帰ってきました。とっても楽しかったです。でも10日間はやはり長いですね。
ちょっぴり疲れました。
それに、こんな”手紙”しかしていない私ですが、貴方と遠く離れてしまった、なんて感じてしまいました。
携帯で彼氏とメールしている友達が、とても羨ましいです。携帯でもPHSでも、やはり欲しいです。
夜みんなで寝る時に、真駒さんとの事が話題に上って、慌てました。そして皆から、もっと勇気を出せ、と言われてしまいました。
勇気ってどうやれば出るんでしょうか
<真駒>
ああ、ちょうど修学旅行だったんですか。
10日間、割と長めの修学旅行ですね。
場所は何所ですか、もしかして海外?
って、違いますよね。去年の9.11テロ以来、飛行機での修学旅行も少ないって言いうし、第一、携帯のメール交換なんてねぇ。
でも最近は、海外対応機種ってのもあるなぁ~。
と言う僕も、実は携帯は持ってなくて、持つべきとは思うのですが、何分ビンボーな浪人生なもので、なかなか所持できません。
旅先は何所だったのか、教えてください。きっと僕の伊豆なんかより、良い場所でしょうから。
勇気ですか。
「僕は貴方に会いたい」
この一言で勇気はでますか?
 
 
<KK>
明日、貴方に声をかけようと思います
 
 
<真駒>
お待ちしています
 
 
<KK>
どうしても出来ませんでした。
声をかけた後、どんな風にしゃべろうか、どんな仕草をしようか、どんなお洒落をしようか悩んでしまいます。
もし駅で声をかけて、「何処かでお茶でも」となっても駅前だと、改札の前のパン屋さんか、西口のマックくらいしか思いつかなかったし、
どんなメニューにしたら真駒さんに好感持ってもらえるか、
どの席に座れば、人目に見つかないか何て事まで考えちゃいます。
挙句の果てに、どんな下着を穿こうかなんて込んでいるのに、貴方を見かけると、どうしても逃げ出してしまいます。
きっと真駒さんには、挙動不審者に見えていたと思います
 
 
<真駒>
可愛い挙動不審者のKKさんへ。今日がダメでも明日があります。まだまだお待ちしています
 


 
 
 昨日KKさんへ送信したメールには、実は続きがあった。
 だが問題があると思って、僕の方で割愛しておいた。

「追伸・下着ってどんな感じのですか?」

 ・・・うんなのダメだって。
 こんなセクハラなこと送れないって。ただでさえキスのシチュエーションなんてネタを、前に出してんだから。
 でも下着の一文は、彼女なりの勇気だったのかな。それとも誘われているのか? もしかして彼女の作戦?
 ともあれ僕も健康な若者。頭の中は、まだ見ぬKKさんの下着で、むんむんいっぱいになっている。
 そのいっぱい具合といったら、

「やっぱり勝負用とか、大胆だったりするのかな」

 注意していないと、思わず口に出てしまうくらいだ。

「何々、何が大胆なのかな?」

 俺の独言に、背後から質問の声。
 その声は小林のものだ。
 卒業以来二度目の遭遇。またしても、その声色は明るいものだった。あんな別れ方を、二度もしたと言うのに、だ。
 僕は振り返ることが出来なかった。

「小林」

 ただ背後の彼女へ声を掛けるだけ。
 KKさんに合いたい。
 その思いを持ったまま、小林に向き合う。
 前に/kooko/が言った状況が、現実の物となった。
 確かに浮気の様な負目も感じる。けれど一番に感じることは、小林に対する不安と疑問だろう。
 一度目はもう遅い。
 二度目はまだ早い。
 今回はどうだというのか。
 逃げ出したい不安と、問いただしたい疑問が侵食しあい、僕はその場を動くことも振り返ることができない。
 KKさんが何所からか見ているかもしれないのに。
 恋の関数は今、どのように変動しているのだろうか。

「やっほー真駒、お久し振り。元気~?。私は元気だったんだぁ」
「すまん」

 背を向けたままの謝罪。
 そして、

「僕はお前みたいに、明るく接することができない。だから、あの事だけを、聞きたいんだが、ダメか?」
「・・・・・・・・・ごめん」

 三度の「ごめん」
 小林を飾り立てていた声色は、一気に剥がれ落ちていた。無理をして明るい口調でいたんだ、やっぱり。

「どうしてだ?」

 僕が訊いた途端、彼女は僕の背中にしがみ付いた。
 シャツの肩甲骨あたりを掴み、顔をぴたりと肩に寄せる。

「小林、おいお前」
「ごめん。駅までこのままでいて、このままでいさせて、お願い」
「解った。けど、どうしてダメなんだ?」
「・・・未だなの。・・・もう少しだけ、・・・・・・未だ早いの。早くなんてないけど・・・まだダメ」

 またあの時と同じだ。弱々しく言葉がこぼれてくる。
 しがみ付いていなければ、電車の中では聞き取ることも間々ならない、小さな謝罪。
 夏が日差しや電車の中吊り広告に、その姿を表し始めたこの時期。僕の薄いシャツは、小林の驚くほど冷んやりとした肌の温度だけでなく、こぼした涙もダイレクトに伝えてきた。
 
 
<KK>
今日こそと思ったのですが・・・
 
 
<真駒>
ごめん。本当にごめん。
きっとKKさんは、あの光景を目撃したんですよね。勇気を出そうとする貴方の前で、あの醜態。すいません。
あの彼女が、以前メールに書いた小林明日香です。
卒業前はもう遅い。
この間は未だ早い。
今日は、未だ僅かに早い、と言われました。
本当に恋の多元関数はどう変動するか解りません。
いったい何の謎かけなんでしょうか。
 
 
<KK>
お呪い情報第二弾です。
消しゴムに好きな人の名前を書き込む、そんなお呪いは昔からありますよね。けど今流行っているのは、ちょっと違います。
消しゴムを筒状に切り出し、その中に好きな人の名前を書いた紙を丸めて入れて、切り出した部分を戻す。ちょっと工作みたいなお呪いです。
早速私もやりました。けど上手く作れません。手芸とか工作は、得意なほうなのですが、上手く作れませんでした。残念です。
 
 
<真駒>
KKさんはクールなんですね。
あなたの前であれだけの事を仕出かし、云わば二股を公言。
裏切られた、と批難されるのが当然と思っていました。
もう貴方からのメールが来る事は無いと、思っていました。
なのにおまじない、ですか。
お呪い(おまじない)ではなく、呪い(のろい)をかけられても、仕方ないかもしれないのに。
本当にごめんなさい。
 
 
<KK>
ようやく修学旅行の写真が現像されて着ました。
こんな写真を手紙に同封したら、ちょっと大胆かなと思うのを選んでみました。
もし真駒さんがこの写真を見たら、私の事をどう思うでしょぅか。
軽いコと思われちゃうでしょうか
 
 
<真駒>
くぅ。KKさんは、男心を上手く手玉に取りますね。
一度突き放して不安にさせた所で、こんな写真を持ってくるとは。しかも四枚中、水着ショットが2枚もあるなんて。
修学旅行は沖縄だったんですね。
去年のテロ後からは警戒して、沖縄行きは減ったと聞いていましたが、なんだ行ってるんですね。
良かった良かった。修学旅行を無理矢理変更したりしなくて、良かったですね。
水着ショットがあって良かった。・・・てのも少しあります。
追伸・軽いコとは思ったりしませんよ。ただ、僕がストーカーみたいな行動を、取ってしまいそうです(笑)
 
 
 
 
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