ライ麦狼の寝床

このブログはフィクションであり、実在の (以下略

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「同じ空の下で」   □ 4 □

DATE: 2006. 05. 20 CATEGORY: 小説
 
「なっ、なななっ!!」

 行き成りのラブレターとはあまりの内容。
 僕は思わず身体ごと、画面へ身を乗り出す。
 ダンッ、と打音。
 身を乗り出したものだから、膝が机にぶち当たった。
 小学校入学の時に買ってもらった学習机。もちろん邪魔な棚や、ごついデザインの電気スタンドは取り外し、高さ調節も最大にしている。それでも身体に合わず、こうして脚がぶつかってしまう。
 その打音が意外に大きかったので、僕は我に帰る。
 ・・・・・・イタズラ。
 そうだイタズラだ。あのアコライトのプレーヤー、あからさまに知り合い臭かったし、こんなラブレターなんて。

 /kooko/本人に問いただそうと、タスクバーに常駐させたR.O.のショートカットをクリック。
 イタズラだ、イタズラ。
 そう言いつつ、僕の瞳はメール文面を何度も追っている。
 それこそ、現代文の文章読解の問題よりも熱心だ。
 パッチサーバーの接続待ちをしながら、ふと思う。もしかして本当にラブレターなのでは?
 まさかありえない、と否定。
 タイトル画面でいつものように、ゲームサーバーに繋がること祈りつつ、アカウントとパスワードを打ち込む。
 以外にも一発でゲームサーバーに繋がった。PC宮代真駒を指定。
 しばらくお待ちください、の下の青バーが延び始める。
 ここでふと思う。
 本当にラブレターだった場合、もし僕が「イタズラしやがって」と発言した場合、相手はどうなる。傷付かないだろうか。
 じゃあ如何すれば、相手が傷付かない方法で、問いただせるるんだ。
 そもそも、/kooko/にどう切り出すつもりなんだ。
 頭が真っ白になった。咄嗟にパソコンの電源ボタンを押す。
 青バーが100%に達する前に、電源が落ちた。
 ・・・・・・・・・・・・・。

「僕はバカか?!、これじゃまるで、中学生が好きな奴の家に電話かけたけど、恥かしくなって相手が出る前に切った様なもんだろ!!」
 
 思わず叫んでいた。その時何か吹っ切れた気がした。
 ああ、僕にもこんな感情が残っていたんだ。こんな起伏のある感情というものが、残っていたんだ。
 そう思うと、最近の自分がバカらしくなった。
 悲壮ぶってみたところで、結局は根底にこんな幼稚というか、単純な感情が流れているんだ。
 現実感。そんな物どうでも良い。
 現実感があろうと無かろうと、世界は世界なんだ。
 自分が認知したから世界がある訳じゃない。認知しようとしまいと世界はあるんだ。その世界の何所か、僕の知らない何所かに、僕の知らないKKさんがいて、向こうは僕の事を見ている。
 ネットだリアルだと言ったところで、通信回線の向こうにKKさんはいる。しかもその距離は、少なく見積もっても、同じ駅を使う地元のエリア内なんだ。
 世界なんてそんなものなのだ、悩む必要なんてない。
 もちろん、全ての悩みが解決した訳じゃ無い。けど少なくとも、未来や現実をどうでも良いとは、感じなくなった。
 うん、信じよう。
 信憑性が無くても、僕はあの文面を信じよう。ここ二ヶ月ほどに溜まっていた物を、払ってくれたのはあのメールなのだから。たとえイタズラだったとしても、お釣がくる価値はある。
 だから信じる。
 自分の感情は死後硬直なんてしていない、焦ったり、慌てたり、恥ずかしかったり、まだまだ新鮮な反応をする。






 僕は再びパソコンを起動させ、ROへ。・・・いた。/kooko/はいた。耳打ちで投げかける。
 
宮代真駒:こんばんは、メール読みました。
/kooko/:あ、読んだ。どうだった?
宮代真駒:はい、返事ですけど、
     僕でよければ喜んでお付き合いします。
     それで今度、直接/kooko/さんに会いたくて、
     駅前の今年できたファミレスでどうですか?
/kooko/:ちょっと待って。
       人違い。
       メールは友人に頼まれた代理送信。
宮代真駒:それは照れ隠しかなにか
/kooko/:違う。
/kooko/:私はキューピッド役
宮代真駒:え~本当ですか?…まぁ、信じましょう。
     /kooko/とKKさんが別人でも、
     感謝している事にはかわりないですから
宮代真駒:じゃ返事書くから 落ちます。
 
 僕は/kooko/の発言を信じ、素直にゲームを終了。
 疑う必要なんて無い。
 そう疑う必要なんて無い。ただ僕が感じたことを、僕が伝えたいことを、メールに書き込むだけだから。







<真駒>
始めましてKKさん。
先ずは御礼を言わせてください。ありがとう御座います。
貴方からメールをもらうまで、自分は現実感が無いといっては、全てを投げやりにしていました。
けど貴方のメールが切欠で目が覚めました。本当に感謝しています。
投げやりになっていた理由の一つに、失恋があります。
僕はKKさんとのお付合いを希望します。ですが、もしくは、だからこそ失恋の事も正直に書きます。
三月に、卒業間際の告白を慣行。「もう遅い」、と言われてふられました。この間も偶然その同じ人物に会い、「まだ早い」と断られました。何が遅く何が早いのか、全く解りません。
”恋の方程式”とか言いますが、恋は方程式ではなく、複雑な多元関数だと思います。自分の知らないところで、変数である何かが動き、対数的にも実数的にも、目まぐるしく変化していますから。
その失恋だけでなく、その他の事も含め、僕はかなり落ち込んでました
精神的にかなり良くない状態だったのです。
でもそこから立ち直る切欠をKKさんがくれました。あのメールです。
だから僕は心から貴方に感謝します。
あと本ですが、やはり僕は浪人ですから、受験の問題集が多いです。
一方的とか痛々しいとい、確かにそう捉えることは出来ると思います。
でも、KKさんの素直な気持ちそのまんまなんだと思います。そんな貴方の、そのまんまの気持ちに触れられて僕は嬉しいです。

 
<KK>
もうこんな”手紙”は書かないと決めたのに。
またあの女の人と一緒でしたね。
少し年上で、背も高くてモデルみたいな身体で、綺麗で、貴方と何の気兼ねも無く話していてる姿は、本当にうらやましいです。

 
<真駒>
ああ、言い忘れてたけど、アレはうちの姉貴です。最近は少なくなったけど、高校の頃から、しょっちゅう一緒に帰ってますね。
モデルみたいとは、過大評価も甚だしいですね。アイツはすらっとしていると言うより、単に背が高いだけです。身長180cm。
しかも『ファーストキスは、つま先立ちじゃ無きゃイヤ。だから彼氏は、私より背が高くなきゃ無きゃダメなの』とかぬかして、未だに彼氏がいないらしいです。
KKさんは、どんなキスがいいですか?可能な限りシチュエーションをセッティングしますんで、どうです僕と。
 
 
<KK>
あの美人のかたが、真駒さんのお姉さんだったなんて。
ああ、何て私は思い込みが激しいんでしょうか。お姉さん相手に嫉妬していたなんて。恥ずかくて、まだほっぺたが熱いです。
あの“手紙”を書いた直ぐ後に知りました。
実は、うちのおねぇちゃんが、真駒さんと同じクラスなんです、で、その情報をくれた訳です。
今日もお二人で並んで、仲良く歩いていましたね。あれ程締め付けられていた光景も、現金なもので、ほのぼのと感じました。
お姉さんだと知ってほっとする反面、別の事を知ってしまいました



 へぇ、KKさんのお姉さんが同じ予備校のクラスだったとは。向こうは僕の事をニヤニヤみているのだろうか。
 ・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・
 ってそんなことどうでも良いっ!!
 重要なのは、” 別の事を知ってしまいました” って一文だ。
 まさか、”どんなキスがいいですか?可能な限りシチュエーションをセッティングしますんで、どうです僕と。”って文に退いているのか。
 やっぱり下品というか、オヤジだったかな。
 いや待て!! 今日も姉貴と並んで帰っていたから、シスコンとでみ思われたのか。
 だよな、だよな、18にもなって姉貴といっしょに帰るというもの、やっぱり変だよな。
 ううぅ、ここは一つ、/kooko/にでも聞いてみるしかない。
 あせる気持ちでROに接続。
 ・・・いたっ。
 
宮代真駒:こんばんは~
/kooko/:おう、こんばんは
宮代真駒:質問・KKさんからメールきたけど、彼女、怒ってるの?
/kooko/:はぁ何故?

 メールの内容と、僕自身の反省の様なものを/kooko/に伝えてみた。すると彼女が怒るはずが無い、との事。
 
/kooko/:だって、あの子は君とメールが出来るんだもの。
       怒るはずがないよ。心から望んでいた事なんだから
宮代真駒:”はず”、実際に会ってはいないの?
/kooko/:会わなくても解り合えちゃう仲でね。
       言葉にしなくても通じちゃうんだよ。色々とね。
       通じなくても良いことまでも。
/kooko/:『別の事を知ってしまいました』ってあったでしょ。
       それ私の事だから、
       真駒のことじゃないから気にしないでいいから
宮代真駒:本当か?
/kooko/:信用しろ。あの子と私はキャリアが違う、キャリアが
宮代真駒:はは確かに。ありがとう、感謝。じゃ落ちる
/kooko/:やってかないの。付合い悪くなったぞ
宮代真駒:彼女が出来たんだ、彼女が。付き合いぐらい悪くなるって
/kooko/:はは確かに
/kooko/:本気で恋してんだね
宮代真駒:心外。本気じゃない恋は、したことが無い
/kooko/:じゃあ三月にふられた同級生と、どっちが好きなの
宮代真駒:メール盗聴してんのか!! 
     そう言えばさっきもメールの一文使ってたし
/kooko/:キューピッドの特権だよ。どっち?
宮代真駒:両方本気
/kooko/:卑怯だね。あの子が好きなのに、
       ふられたコを正面から見れるの?
/kooko/:こっちももう落ちる。イズD行くつもりだったけど、
       後衛の風系マジがいないんじゃツライ。じゃ
 
 そう書き込み、/kooko/はログアウトして行った。






<真駒>
お友達の/kooko/さんから聞きました。
僕のちょっと下品な発言に、怒っていないとの事で、ほっとしています。根があまり上品なものではなくて・・・
話は変りますが、明日から6月ですね。2日から12日まで、僕は伊豆に合宿に行ってきます。
イズルードじゃないですよ(笑)
予備校の言い分では『六月と言う大事な時期に(以下略)――』との事ですが、明らかに、端境期で観光地の物価が安くなっている時を狙って、イベントをこなそうとしているだけです。
こんな予備校を選んで良かったのか、本当に心配です。
って、KKさんにグチを言うつもりじゃなかったんですが
で、お土産は何が良いですか? 良かったらリクエストどうぞ。
 
 
<KK>
こんなおまじないを聞きました。二枚貝を片方づつ、二人で持っていると離れ離れにならない、そんなおまじないがあるそうです。
夏が近いですね。海に行ったら、貝殻が欲しいです。

 
<真駒>
ごめんなさい。貝殻見付りませんでした。
合宿中は完全拘束、ぞくに言う缶詰状態でした。
しかも、合宿に使った宿泊所(ホテルに非ず)は、伊豆と言っても山奥でした。二枚貝なんて、味噌汁のアサリか、裏の崖から出土する化石ぐらいでしょう。
実は、これでも夜中に抜け出したんです。宿泊所の非常用懐中電灯(壁にはまってて、抜くと自動的に光るやつです) を片手に、こっそり海まで行ってみました。
でも残念ながら見付りませんでした。本当ごめんなさい。
変りに、ガラス細工の貝殻をお土産にします。できれば住所を教えてください。お届けorお送りしますよ。
 
 
 その後しばらく、KKさんのメールはこなかった。
 彼女のメールがこないだけで、どうも落着かない。
 /kooko/の言葉じゃないけど本気で恋をしてんだな、と実感。
 
 
宮代真駒:なぁ、何時までやるんだよ。そろそろ辞めないか?
/kooko/:なぁに言ってんの、夜はこれからよ
宮代真駒:ただ今の時間03:18・・・そろそろ朝だぞ。
/kooko/:ふふ、今夜は寝かさないわよ~。朝が来るまで
宮代真駒:何が朝が来るまでだよ、さっきククレカード二枚も出たぞ。
     もういいだろ
/kooko/:ああー、こんな可愛いアコちゃんに、
       アダルトな台詞言わせといて、何その反応
宮代真駒:つーか、アンタが女な保障はなかろうに。やいネカマ
/kooko/:もう、あのコと付き合い始めてから冷た~い
 
 イズルード海底洞窟。
 赤染料を作くるため、アルコールを手に入れるんだと、/kooko/は半ば無理矢理に、僕を引き連れて潜っている。
 いったい何回、何十回、プランクトンにライトニングボルトを打ち込んだことか。アイテムが出たとたんに集って来るククレはうざったく、疲労感を倍増させる。
 それでも、ククレだけでなくプランクトンからもカードが出ているのだから、リアルラックが良いといえるだろう。
 …アルコール全然でないけど。
 相変わらずこのゲームは、レアアイテムの出現率は、完全にリアルラックしだいだな。何しろカードの類は、出ない時は、一ヶ月同じ的を狩続けても出ない時は出ないのだから

 
/kooko/:この間途中で落ちたんだから。
       その分、アルコールが出るまで廃プレーするわよ。
宮代真駒:出ね―っての
/kooko/:あらあら、もう煙も出ませんって事、軟弱ね
宮代真駒:なぁKKさんからメール来てない
/kooko/:来てない。
/kooko/:修学旅行中だもん
/kooko/:もう、あのコの事ばっかりだね。
       ほらヒドラもまとめてブッちめるよ



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