ライ麦狼の寝床

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資料ざっぴんぐ

DATE: 2009. 11. 11 CATEGORY: 日記×ネタ+妄想
という事で、資料ザッピング置き場という事で、ずらずらならべますですよ~





フェアトレード=等価交換?


フェアトレードとは?

現在、世界各地の途上国に暮らす人々は、貧困により多くの問題を抱えています。その貧困をもたらす原因の一つは、通常行われている貿易に様々な問題を含んでいるからなのです。
フェアトレード(公正な貿易)は、このような状況を改善するために、NGO、NPOが途上国の生産者と直接取り引きを行い、不必要な仲介業者がマージンを取ることを防ぎます。同時に商品を適正な価格で買い取るため、生産者も適正な収入を得ることが出来ます。
また、継続的に生産者と取り引きをすることによって、農村やスラムに暮らす人々に仕事の場を提供することが出来ます。例えば、農村において自然環境を重視した有機農業を行うことにより、農村部での産業を振興させ、貧しさゆえに農村から人々が流出し、都市のスラムが拡大していくことをふせぎます。
社会の底辺に追いやられていた女性たちが伝統的な技術を活かし手工芸品を製作し販売することによって、収入を得られるようになります。これは女性自身の社会的自立に繋るばかりでなく、子どももまた学校へ通い勉強することが出来るようになります。
フェアトレードは、このような長期的な取り組みが継続されることで、はじめて貧困の改善に役立つことが出来るのです。そして、生産者も消費者もお互いに尊重、尊敬し合う関係の中で、共に生きる社会を目指していくものです。自然も人も大切にしていくフェアトレードを、皆さん是非一緒に育てていきましょう!



フリートレードとその問題点
 第三世界に関する問題と、その周辺事情を改めて考えてみると、大きな二つの問題点が明らかになってくる。一つは、現在第一世界と呼ばれる国々のODA(政府開発援助)による第三世界の開発による債務と、それによる貧困問題。もう一つは多国籍企業によって支配された自由貿易に関する問題である。どちらの問題も歴史的な背景として、ヨーロッパ諸国が植民地時代に築き上げた南北間の支配関係がベースになっている。又、その構造は第一世界に利益をもたらすシステムを採ることが多い。
第一世界による第三世界への政府の開発援助は、政治的、経済的に第一世界の都合と視点に立った物が殆どである為、開発国側の利益にならないばかりでなく、第三世界が多額の債務に苦しむ結果になっている。又、多国籍企業による世界市場の支配は、かつてヨーロッパの国々が、奴隷貿易、植民地支配などを通じて作り上げた不公平な関係をそのまま引き継いでいる為、第三世界の人々は、今でも第一世界が最終製品にする為の第一次産品を生産し続けている。第一世界は資本と技術力を持って現地に赴き、第三世界は豊富な資源と安い労働力を第一世界に提供している。自由貿易のシステムは複雑で、北側による南側の支配の構造そのものを南側の力で変えていく事は現実として難しい為、現在も第三世界は第一世界の資本と技術に支配されたまま、北側の自由貿易と資本主義に巻き込まれている。   
多国籍企業は、生産と流通の両方を支配するという性質上、豊かな天然資源を第三世界に、そして安い労働力を第三世界と第一世界の貧困層(主に第三世界からの移民)に求め、同時にその売り先になる経済的に豊かな市場を第一世界と第三世界の富裕層に求めている。この様な貧富の差を持つ社会の構造は、労働力と市場の両方を必要とする多国籍企業にとっては都合が良く、同時に更なる貧富の格差を作り出すことになる。現在、数社の巨大多国籍企業が、商品を国から国へと自社内移転することによって世界市場を支配しているが、自分達で価格を決定し、次第に生産まで管理する様になってきている。そういった構造的支配関係を打開する為の一つの方法として、フェアトレードという新しい形の貿易が誕生した。


フェアトレード(オルタナティブ・トレード)
 現在フェアトレード商品を扱う団体は、第三世界の飢餓、災害救済の為のチャリティーとして活動をスタートさせたものが多く、その性質上、宗教的な背景を持った団体が多い。最も有名なイギリスのオクスファムは、第二次大戦中に飢餓救済の為の募金集めをした事からその活動をスタートさせたキリスト教系の団体であるが、次第に活動目的をチャリティーから公平貿易(フェアトレード)へと転換してきた。チャリティーからフェアトレードに移行する理由としては、第三世界と第一世界のより対等な関係を築く事と、継続的な貿易を通して第三世界の生産者の経済的自立を促すことなどが挙げられる。また、UNCTAD(国際連合貿易開発会議)で第三世界の生産者の側から「援助ではなく、貿易を」と提案された背景などがある。しかし、フェアトレード自体の歴史はまだ短く、生産者の事情も地域により差がある為、フェアトレードとして一律の基準を設ける事は難しい。又、時により「援助」と「フェアトレード」の間に線を引くことが難しい場合もある。その様な状況の中で各団体での試行錯誤が続けられている。
フリートレードとフェアトレードの大きな違いは、これまで述べてきた様に事業目的、規模などが挙げられる。しかし、やはりフェアトレードの最も大きな特徴としては、生産者との「顔の見える関係」と言えるだろう。大抵、生産者と消費者の間には双方の国のNGOが取引の窓口として対応するが、フリートレードの場合は生産者、消費者間にあまりにも多くの企業が仲介に入る為、双方の交流は愚か、一次産品、手工芸品どちらの場合もその生産過程や背景を知る事は難しい。しかし、フェアトレードは生産者と消費者が製品を通じて交流出来る貿易であり、仲介に入るNGOなどの団体がその役割を務める。例えば、生産者は自分達の置かれた状況や製品の生産背景を消費者に伝える事が出来、消費者はそれらの情報を通じて、商品とそれを取り巻く生産者の状況を知ることが出来る。又、生産者は適正な価格で自分達の製品を販売することで経済的に自立する道を見つけることが出来、消費者は大量生産では後回しにされている食品などの安全性を生産段階で生産者に求めることが出来る。小規模な取引だからこそ話し合いによって何が可能で不可能なのかを探る事の出来る新しい貿易の形と言えるだろう。

フェアトレードの今後の課題
フェアトレードで扱う製品には一次産品と手工芸品の二種類がある。しかし、一次産品について考える時、一体貿易自体が世の中に必要なのかどうかという根本的な疑問にぶつかることがある。第三世界の生産者は換金作物を作る替わりに自分達の食料を生産し、資源を保護するべきというだという考えを持つ人は多い。実際、第三世界の肥沃な土地の多くは換金作物生産のために使われ、第三世界は第一世界から食料を輸入している。これに対してマイケル・バラット・ブラウンは彼の著書「フェアトレード」の中で「北と南の相互交流から、両方にとって本当に利益になることもでてくるのである。第三世界の生産物が依存する市場の多くは第一世界の中だけにあり、第三世界が必要とする設備の多くは第一世界にしかない。第三世界の組織が世界市場に参入しなければならないと考えたなら、第一世界の人間が「ノー」と言うのはおそらくお門違いで、私たちはむしろ第三世界が貿易を多様化し、貿易に対する管理能力を高め、交渉力を高められるように手助けをするのが筋である。」と述べている。
現在、数千億ドルに達する第三世界の貿易全体の中で、オルタナティブ・トレードはほんの数億ドル相当にすぎず、それが成功しているのかどうか判断するのは難しい。しかし、小さいながらも年々確実にネットワークを広げているのも事実である。ATO(オルタナティブ・トレード・オーガニゼーション)は生産者と消費者の関係を人間同士の関係としてとらえ、世界貿易の全体構造を考える機会とその必要性を提示している。その意味でも、ATOはこれまで存在した仲介業者とは全く性格の異なる、生産者の利益を優先させた新しい“仲介業者”になる必要がある。又、オルタナティブな貿易の発展もそれ自体を目的とするのではなく、最終的には第三世界の生産者(特に劣悪な環境に置かれた女性達)の生活向上を目的としている。同時に私たちは、第三世界の問題は土地や労働力、資源の不足から起こるものではなく、それらの大事な資源が適切に使われなかったから生じた問題であることを認識しなくてはならない。

今私たちに出来ること―グリーン・コンシューマリズム
 全世界の五分の一の人口を抱える第一世界が地球全体の資源の三分の二を消費し、残りの五分の四の人々は第三世界に住み、第一世界に対する債務を返済する為に熱帯雨林を切り倒し、輸出肉用の家畜を育て、換金作物を植えている。世界中至る所で経済成長の為に環境破壊が進んでいる。西ヨーロッパと北アメリカでは「緑の党」が票を伸ばし、地球の友、グリーンピース、WWFのような団体は日々環境を守る為の活動を続けている。これら、消費者の側の働きかけによって第一世界の殆どの国の政府は環境について何らかの対策を示してきている。経済性のみを重視し、食料を工業製品と同様に扱う多国籍企業の環境破壊、これらの企業によって操られる消費者心理。しかし、私達は同時に市場において一番力を持った消費者である事も忘れてはならない。私達はそれらの背景を持った製品を受け入れる事も出来れば拒否する事も出来るからである。フェアトレードのような草の根の活動(小規模プロジェクト)は政府による巨大プロジェクトには出来ない有効で効果的な活動の可能性を持っているのである。




フェアトレードの問題点

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●値段:
フェアトレード雑貨は一般のアジア雑貨に較べて値段が高い傾向にあります。現地の生産者団体は雇用を生み出し十分に賃金を払うことを目的としていますので、現地の一般の業者に較べて輸出値段は高めです。理論上は中間業者を排除することによって、この割高感を解消できることになっていますが、実際のところ輸入を手がけるフェアトレード団体は一般商社に較べて資金力に乏しく、また商品の性質上からも大量輸入が出来ないため、輸入コストが割高になっています。また国内のフェアトレード団体は欧米諸国のフェアトレード団体のように政府や企業から潤沢な資金を支援してもらえないので、活動資金を確保するためにも少なくない利益幅を設定して小売店に卸しています。こうしてフェアトレード雑貨は小売店に入荷した時点で既に一般のアジア雑貨に較べてかなり高い値段になっているのが現状です。

●納期:
国内のフェアトレード団体を通さず、現地の生産団体と直接やり取りして輸入する場合、納期の問題が一般の商談と比べ頻発します。貧困のため病気や災害に遭いやすいので、生産計画に遅れが出るのは仕方ない面もありますが、改善しないことには継続して注文をもらうことが出来なくなります。

●品質:
フェアトレード雑貨の品質が一般のアジア雑貨の品質と較べて、かなり劣ることが少なくありません。商社の技術指導のもと徹底した品質管理を導入している現地企業の工場で生産される雑貨と較べて、フェアトレード雑貨は現地の生産団体が小規模で、技術的に未熟であるため、手作りのあたたかさがあるものの、品質に問題がある場合が少なくありません。なかには縫製や色落ち対策など、日本の市場で受け入れられるための最低限の品質管理さえ出来ていないものもまだあり、商品の開発・輸入をする日本側フェアトレード団体の課題となっています。

●本当にフェアトレード?
そして根本的なことですが、『フェアトレード製品』として売られているものが、本当に現地のNGOや非営利生産者団体から輸入されているものなのか証拠がありません。原産地表示詐欺や有機表示詐欺と同じ事が発生する可能性はあります。実際、フェアトレード製品として販売されている商品でも、現地の生産者組織が明示されていないケースがたくさんあります。かといって、国際的な認定機関に承認してもらわないものはフェアトレードではないというような方向もどうかと思います。認定されるにはそれなりに料金が発生しますし、また貧困層や弱者を雇用し内容的には非営利団体に限りなく近いような個人事業主からの購入などは、通常の商行為とみなされフェアトレードとは認定されないでしょう。




ピースウィンズショップ
(あくまで、資料ザッピングで、ライ麦狼による商品のオススメではありません。どうせオススメするなら、同人音楽作品をオススメしますよ)


ピースウィンズ ・ショップは国際協力NGOピースウィンズ ・ジャパンが運営するオンライン・ショップです。商品の販売収益は、ピースウィンズ ・ジャパン(PWJ)の活動に役立てられます。
1999年より支援をしている東ティモールのフェアトレードコーヒーをはじめ、その他のフェアトレード商品や、PWJオリジナルグッズ、国内外各地から集められた商品など、ショッピングを通して楽しく国際協力にご参加ください。





トービン税

トービン税(英: Tobin Tax)は、ノーベル経済学賞受賞者ジェームズ・トービン(イェール大学経済学部教授)が1972年に提唱した税制度である。投機目的の短期的な取引を抑制するため、国際通貨取引に低率の課税をするというアイデアで1994年のメキシコ通貨危機以降、注目を集めた。

市民団体「ATTAC」などの組織がトービン税の税収を発展途上国の債務解消・融資やエイズ、環境問題などに使う可能性を提案している。だがトービン税は、世界各国が同時に導入しなければ効果が出ないという難点もある。非導入国がある場合、投機家の資金が非導入国に大量に流入する恐れがあるからである。



いま、なぜトービン税!? 


 この7月ベルギー国会の下院で「トービン税法」が採択されました。そして現在上院側の修正待ちということになっています(修正がなければそのまま法律となる)。長年にわたり「ユートピア過ぎる」とか「技術的に困難」という批判が、トービン税に寄せられてきました。しかし、これらの批判を打ち破るかのように、ついにベルギーで法律として実を結ぼうとしています。

◆トービン税の役割(1):投機的な短期資金の抑制
 トービン税とは、投機的な短期資金の移動を抑制する目的で提唱された税制です。ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・トービン博士の名前からこう呼ばれています。仕組みは、すべての通貨取引にきわめて低率の税を課すシステムです。短期的な投資収益を狙って頻繁に資金を移動させればさせるほど、税率が高くなります。一方、工場を作るとか会社を経営するとかの長期的な直接投資には超低率の課税のままなので実質的影響が少なく、投機的な短期資金の移動だけが抑制されることになります。

 ところで、すべての通貨取引、つまり国際間の金融取引は年間300兆ドルにも及ぶといわれています。1日あたりにして1兆ドル、つまり100兆円(!)強という巨額な資金が地球上を移動していることになります。そしてその取引の90%以上が投機的な短期資金なのです。ですから、この短期的資金の移動の抑制は焦眉の課題といえましょう。

◆トービン税の役割(2):国際公共財としての途上国の貧困対策
 一方、超低率の課税とはいえ原資が巨額ですので、税収も莫大なものとなります。そこで、この税収に注目したのがNGO(非政府組織)です。国際公共財として途上国の貧困対策や持続可能な開発のための資金に使用すべきではないかと提案しています。   

すべての国際金融取引に、例えば0.05%課税しただけでも年間で500億ドルの税収が上がる計算となりますが、これはちょうど世界のODA(政府開発援助)資金とほぼ同額となります。ですから、トービン税は「もう一つのODA」と呼ぶこともできます。

◆ベルギーでの法律化:トービン=スパーン税
 冒頭述べた世界初となるベルギーでの法案の特徴を見てみます。

名称は「外国為替・銀行券・通貨取引税導入に関する法案」と言い、通称で「トービン=スパーン税法案」と呼ばれています。
この税をベルギー一国でも導入するのかどうかということですが、そうではなくユーロ圏(欧州連合の 12カ国が同一通貨ユーロを使用)の他の国々がトービン税型の為替取引税の導入を決めてからはじめて施行される、というものです。
この税システムはトービン税の改良型であるスパーン税という2段階の税徴収を行うものです。スパーン税とは、元IMFのコンサルタントでもあったゲーテ大学(フランクフルト)のポール=ベルント・スパーン教授の名前から来ています。その特徴は、通常のすべての通貨取引には0.01~ 0.02%というきわめて低率の税が課せられますが、ひとたび重大な投機行為にさらされ当該通貨の交換比率が急変した場合、ほとんど禁止的な高率の税が課せられます。ベルギーの法案では、前者は0.02%、後者は80%となっています。
税は、欧州連合内に創設される基金に徴収されます。その基金は欧州連合によって運営され「開発協力、社会的または環境的正義の向上および国際公共財の保存や保護のために充てられる」ことをめざします。

 今日、為替市場はことごとく電子化され、複雑なオフショアやデリバティブであれとレース(追跡)が可能となっています。つまり、取引記録が残るので税金をかけることは容易です。技術的困難はクリアーされた、あとは政治的意思だけである、というのが世界的にも常識になりつつあります。

◆トービン税:ミレニアム開発目標(貧困削減)達成のためのツールに!
 おりしも来年は国連ミレニアム開発目標(2015年までに世界の貧困を半減させるなど)のレビューの年です。これに向け10月20日国連では一般総会の前に「貧困の克服と飢餓の撲滅をめざす首脳会議」が開催されました。世界の貧困の半減目標達成は、現状では不可能になるという危機感からです。その原因のひとつは、開発目標達成のための資金が国際社会で圧倒的に不足していることです。それを打開するツールがトービン税です。

 いま、欧州ではベルギーが突破口となりました。欧州全体でいっそう盛り上がっていくことは確実です。北米の米国、カナダでもNGOががんばっています。途上国からも国際社会に向けてトービン税の要求が高まっています。外国為替市場の取引高は、ロンドン、ニューヨークについで東京が世界第3位です。したがって、日本で活動するNGOの役割は実に重要です。日本でのトービン税導入をめざし、ともに活動していきましょう。






金融サミットで「トービン税」協議、声明に盛り込む公算=G20筋


[18日 ロイター] 24─25日に米ピッツバーグで開催される20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)では、国際的な金融取引に税を課す「トービン税」が協議される見通しで、最終的な声明に盛り込まれる公算が大きい。G20関係筋が18日、明らかにした。
 関係筋の1人はロイターに対し「(トービン税が)真剣に協議され、(声明で)言及する計画だ」と述べた。「国際的な金融機関がこれを分析し、結果をG20の財務相に報告することになる可能性が一番高い」と語った。




金融取引課税「トービン税」は世界経済の劇薬である


11月7日のG20財務大臣・中央銀行総裁会議で
英国ブラウン首相が金融取引課税である「トービン税」を提唱した。

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筆者はその長所と短所を明らかにし、デメリットのほうが多い課税であると説く。
. 一橋大学大学院商学研究科教授
小川英治=文
text by Eiji Ogawa
1957年、北海道生まれ。一橋大学商学部卒業、一橋大学大学院商学研究科博士課程単位修得、商学博士。88年より同大学商学部勤務。ハーバード大学(86~88年)、カリフォルニア大学バークレー校(92~93年)でvisiting scholar。著書・訳書に『国際通貨システムの安定性』『金融経済入門』『金融リスク管理戦略』などがある
. 危機対応から
「持続可能かつ均衡ある成長」への移行


 11月7日にイギリス・スコットランドのセントアンドリュースにおいて開かれていたG20財務大臣・中央銀行総裁会議が閉幕した。そこでは、世界金融危機および世界同時不況からの回復を目指して、国際的な政策協調の必要性が再確認され、それを実現するために、「強固で持続可能かつ均衡ある成長のためのG20の枠組み」を導入することが合意された。そして、その「枠組み」づくりのための工程表が提示され、次のような段取りで、この新しい相互評価の協議プロセスを開始することとなったことが共同声明において発表されている。

 まず、2010年1月末までに、G20各国・地域(欧州連合〈EU〉の代表としての欧州委員会およびユーロ圏の中央銀行としての欧州中央銀行〈ECB〉が「地域」とみなされる)の財務大臣・中央銀行総裁がそれぞれの政策枠組みと政策運営の計画と今後の経済予測を提示する。そして、10年4月に、制度的な取り決めを考慮しつつ、G20各国・地域のそれぞれの政策と共通の政策目標との間の整合性に関して、協調的に相互評価を実施するプロセスの最初の局面に入る。
 10年6月の次回サミットにおいては、首脳が検討すべき政策目標を達成するための政策オプションを作成する。協調的な相互評価プロセスを経て、10年11月のサミットにおいて、その相互評価を再検討し、より詳細な政策提言を作成することとしている。

 共同声明の中でも指摘されているように、このような政策枠組みを活用するに際して、最初に直面する課題は、どのように現在の危機対応から長期的目標である「強固でより持続可能かつ均衡ある成長」へ移行するかである。またこれらが、持続可能な財政、物価の安定、安定的・効率的・強靭な金融システム、雇用創出、貧困削減という政策目標と整合的かどうかである。経済危機からの回復が確保されるまで経済を支援し続ける一方、危機対応のためのマクロ経済支援策および金融支援策をどのようなタイミングで終息させるか、いわゆる出口戦略が問題となる。
 また、G20財務大臣・中央銀行総裁会議においては、世界的な金融システムを世界金融危機から回復させ、そして、さらに将来の金融危機に対するために、金融安定化理事会(FSB)と協働して、改革プログラムを推進することが合意された。特に、金融機関の健全性のための規制を強化するため、バーゼル委員会が10年末までに金融機関の健全性基準を策定することとなっている。そして、12年末までを目途として、金融情勢が改善し、景気回復が確実になった時点で、金融機関の健全性のための規制強化を段階的に実施する。また、金融監督当局から、必要に応じて資本増強のための方策を金融機関に求めることも検討されている。



「他国がわれわれと一緒に動かなければ、
英国は動かない」


 このような議論の中で、イギリスのブラウン首相が、国際的な金融機関の破綻に備えて、国際的な仕組みを構築することの必要性を説いた。国際的な仕組みの提案の中には、破綻処理ファンドや自己資本規制強化や国際的な金融取引課税などが含まれている。とりわけ、国際的な金融取引課税の提案は、ノーベル経済学賞受賞者の、アメリカの経済学者であるジェームズ・トービンが、今から37年前の1972年にプリンストン大学でのジェーンウェイ講義において提案した通貨取引課税と類似するものなので、トービン税の導入ということで、マスコミに大きく取り上げられた。

 トービン税と呼ばれた通貨取引課税は、1日に何度でも取引するデイトレーダーのような投機家による投機目的の外国為替取引を抑制するために、その取引に対して一定率の課税をしようというものである。それは、車輪とレールとの間に砂を撒いて、摩擦を高めて、車輪の滑りを抑制しようとすることになぞらえられる。通貨取引課税を導入することによって、通貨取引の回数を減らし、為替相場の乱高下を抑制しようというものである。ブラウン首相が提案する国際的な金融取引課税も、投機目的の取引を抑制することに加えて、そこで得られた税収を、国際的な金融機関の破綻に備える資金源にしようという、一石二鳥をめざしたものである。

 一方、取れるところから取ろうという発想の下に、本来のトービン税の目的である投機抑制効果よりもむしろ、地球温暖化対策の資金調達手段として、地球環境税の一つとして通貨取引税の導入がEUの一部の国で検討されてきた。特に、域内においても外国為替取引のないユーロ圏を有するEUにおいては、域外との通貨取引に対して課税するという、通貨取引税が議論されている。ユーロ圏にとっては、その域内の取引においては外国為替取引が必要なく、域外との国際経済取引においてのみ外国為替取引が伴うことから、それほどの負担ではないというものである。

 投機抑制を目的としたトービン税を、投機とは関係ない地球環境のために利用しようという「目的外使用」であることは否めない。日本においても、環境省が地球環境税等研究会において、地球温暖化対策の資金調達手段としてトービン税を発展させた、トービン・シュパーン税、通貨取引開発税、国際通貨取引税などが検討された経緯がある。
 G20財務大臣・中央銀行総裁会議においては、このブラウン首相による国際的な金融取引課税に関する提案は、必ずしもすべての参加者から賛同を受けたわけではなかった。とりわけ、アメリカのガイトナー財務長官は、「日々の金融取引税は支持する用意のあるものではない」と発言して、「とどめの一撃を加えた」と、ファイナンシャル・タイムズ紙は報じている。さらに、ガイトナー財務長官は、このような国際的な金融取引税が支持される条件の一つが、「他国がわれわれと一緒に動かなければ、英国は動かないであろう」と言ったことから、「問題は終わった」とも同紙に報じられている。

 この「他国がわれわれと一緒に動かなければ、英国は動かないであろう」という発言は、まさしくトービン税が37年前にトービンによって提案されて、長い時間を経ても実現することのできない最大の理由となっている。
 トービン自身も指摘しているトービン税に関する問題点が二つある。その一つは、前述したガイトナー財務長官の発言と関係する。そもそも金融取引や通貨取引は、貿易取引とは異なり、船舶や飛行機で輸送するというような費用はかからない。トービン税が提案された70年代から指摘されていたことであるが、とりわけ、情報通信技術が急速に進展した現代の情報化社会においては、極めて低い費用で、無限大のスピードで、換言すれば、一瞬のうちに地球の裏側に送金することができることから、金融取引や通貨取引に関する物理的な取引費用は極めて低い。



トービン税課税国の金融機関は撤退、
タックス・ヘイブンへ


 そのような状況の中で、世界中のすべての国や地域で一律に同率のトービン税を課税することができれば、どの国や地域を経由した金融取引や通貨取引に対しても同率のトービン税が課されることによって、資金移動に歪みをもたらすことはない。
 しかしながら、実際には、税金を免除することによって金融機関を誘致する国(ルクセンブルクなど)や地域(ケイマン諸島など)、いわゆるタックス・ヘイブン(租税回避地)が存在している。このような租税回避地が存在するなか、一部の国だけで金融取引や通貨取引に対してトービン税を課すと、資金は、これらのタックス・ヘイブンを経由することになり、資金移動に歪みが発生することになる。
 より具体的に言えば、トービン税を課した国の金融機関や金融市場や取引所における金融取引や通貨取引の取引費用が高まり、それが相対的に非効率的かつ不利となることから、それらの国々から金融機関や金融市場や取引所が撤退して、タックス・ヘイブンへ移ってしまうことになる。
 そのようなことが起こることが十分に予想されるなか、どの国の金融監督当局が率先して、トービン税を導入するのかという疑問が起こる。タックス・ヘイブン(タックス・ヘイブンがトービン税を課することは定義上、矛盾しているものの)も含めて、すべての国・地域がトービン税を導入するのであれば、各国政府はそれぞれにトービン税を導入することも考えるであろうが、そのような協調が取られるのは困難であると言われている。



トービン税を回避するための
「いたちごっこ」とは


 ゲーム理論においては、このような状況は「協調の失敗」と呼ばれる。このことが、まさしくガイトナー財務長官が発言した「他国がわれわれと一緒に動かなければ、英国は動かないであろう」ということである。
 トービンが指摘したもう一つの問題点は、金融監督当局がトービン税の課税対象となる金融取引や通貨取引を決めても、トービン税を回避するためにその対象外の金融取引や通貨取引、さらには、他の代替的な金融商品取引が開発されてしまうということである。そうなれば、金融監督当局はそれを追いかけて、さらに課税対象を広げるというような「いたちごっこ」が始まってしまう。このような「いたちごっこ」は、金融監督の仕事を増やしたいという金融監督当局(そのような金融監督当局はないと信じるが)にはよろしいかもしれないが、経済は確実に非効率的になっていく。悪いことに、経済が非効率化したとしても、トービン税の税収は確保できないということになりかねない。

 何らかの規制や課税をしても、経済になんら影響せず、無駄だったというだけであれば、(日本の現政権の「事業仕分け」の対象となるかもしれないが)経済学的にはまだ許せるかもしれない。しかし、トービン税の場合には、期待した効果が上がらないにもかかわらず、資金移動の歪みを生じさせるとか、経済を非効率化させるとか、デメリットのほうが大きいことから、問題点が多い。このように、トービン税が問題の多い課税であることは、この37年間に議論されてきたところではあるが、そのことを再認識する必要があろう。


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