ライ麦狼の寝床

このブログはフィクションであり、実在の (以下略

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走り書き~

DATE: 2009. 02. 26 CATEGORY: 日記×ネタ+妄想
ども、最近ここに書く言葉使いが、ちっくと乱暴になってしまったかな? と思っているライ麦狼です。
別に、”おしとやか”や”上品”を目指している訳ではございませんが・・・。なんか荒んでくるモノがありまして、少々自制した方が宜しいかな? と思っております。

何といいますか、ネット上で攻撃的な発言をしているのも、芸風として如何なものかと、思うしだいでして。はい。



で本題。
以前書きました、「一人称」と「三人称」ですが、それをもっと曖昧にした感じのモノを、ちと書いてみました。
場面は全く別のシーンですが、視点を主観的にして「一人称」の食感を残しつつ、書き方は「三人称」で進めてみました。






■ 走り書き



「あの…別れて…、ほしいんです。…二人は似合わないと思うんです」
「…はい!? えっと、どういうことかな?」

開店早々に訪れた、若い2人連れの男女は、どうやら別れ話を始めたらしい。
そのシーンを、こっそりと観察しているウェイトレス。彼女が務めるここは、桶阿駅近くのファミレスだった。
大正ロマンがコンセプトで、この地域とその趣味のギョーカイでは広く認知されている系列店だ。

ウェイトレスが見る限り、男の方は自分と同じ二十歳くらい。
女の方は幾分年下で、女子高生とみて間違いないだろう。グラビアアイドルみたいな体系が気に食わないが…
時は夏休み真っ只中の八月だ。
ふむ、夏休みに入って出来上がった即席カップルが、そろそろ崩壊してもいいころ合いだ…っーか、とっとと別れちまえ。
…“幸いにも”別れてくれたなら、男の方をかっさらっても悪くない。むしろチャンスじゃね? 
ふふふ、今ならもれなく、大正ロマンあふれるコスチュームプレイが付いてくるぜ

そう黒い念波を送りつつ、一人身の不幸をなげきながらも懸命にバイトにいそしむ。
だが、ウェイトレスが希望する展開よりも事態はかなり複雑だった。

「旗瀬さんと出穂では、きっと不幸になると思うんです。だから出穂と別れてほしいんです…だって、いろいろ聞いてますから、2年前の事を」
「………いや、そのあたりはお互い納得して付き合い始めたんだ、卯月が死んだ事もね。もちろん、色々あるよ、うん、あるんだよ確かに。だけど…、いや、問題というか、その…どうしたの鳥羽? メールもそうだけど、いつもと話し方が全然違うんだけど」

どうやら、ハタセという男が今付き合っているのはここにはいないイズホというコらしく、しかも2年前にウヅキというコが死んでしまう、“イロイロ”があったらしい……。

これは、別れた直後の男を慰めてあげてゲットしちゃおう作戦は、難しいかもしれない。

しかし、あのトバというコの態度が、普段と全く違うというのも気になる。
聞き耳を立てれば、普段は「テメェ旗瀬、オレの出穂に手をだすんじゃねぇ。あっちいけ」と、男の方を邪見に扱っているのに、急に丁寧な言葉づかいでしおらしくしているようだ。

これは…まさかツンデレか、計画的なデレ展開なのかっ?!

この場だけ見ているウェイトレスからすると、トバというコは、どこぞのお嬢様みたいな雰囲気を漂わせているというのに、普段は随分なツンで男勝りを演出しているのか?


「それは、…こちらが本当というか、いつものは素直になれないといか、出穂の気持ちも知っていますから、ワザとあんな………ごめんなさい」

トバは謝罪を口にして、ハンカチを握りしめたままうつむいてしまった。

「え~と、よく解らないけど別に謝らなくても、えと 素直って何???」

うわ、男の方気付いてない。目の前で暴露されても理解してなんかねぇ

「くっ!! ……だから、私は旗瀬さんに出穂と別れてほしいんです。あなたと出穂との仲が心配なのもありますが、私は…私は旗瀬さんの事が好きなんです。ずっと、四月に出穂に紹介してもらった時から……でも、もうその時はあなたの隣には出穂がいました。
一昨日に、あなたが出穂に告白するずっと前から、旗瀬さんの隣には出穂がいたんです。でも、もう抑えきれないんです」

確信犯系ツンデレ & トライアングラー、キターーーーーーッッ!!

ウェイトレスの脳内では、文字が弾幕のごとく右から左へ流れていく。
おおおっ、トライアングラーの修羅場が見れるぞ。
バイトなんてしている場合じゃない。
レジの物陰からガン見せめば。

男は驚きを隠そうともせず、言葉を失ってしばし黙り込む。けど意を決して、口をひらいた。
その声は、意外なほど落ち着いたものだった。

「…ごめん。それと、ありがとう」
「ダメですか?」
「うん、鳥羽の想いには応えられないよ。僕は、やっぱり出穂が好きだから。でも鳥羽には嫌われているんだと、ずっと考えていたから、そうじゃなかったのは嬉しいよ」

子供に言い聞かせるような声色で、男はゆっくりと、でも真正面から答えていく。

「旗瀬さんが出穂のこと好きでも、私が一番でなくてもいいんです。それでもダメですか?
 私、あなたが望むならなんだってしますから、だから…」
「ごめんね、僕は出穂を裏切れないんだ。鳥羽を悲しませてしまって、すまないと思う。僕の事をどれだけ恨んでもいいから」

逃げも隠れもしない、残酷なくらいに真正面からの返答。
今度は女が言葉を失う番だった。
うつむいたまま、一度全身をこわばらせたのち、大きく息を吐きながら身体をしぼませていく。
それは、「あきらめ」を体全体であらわしていた。
ああ、今ここに乙女が切ない恋心の成就をあきらめたのか・・・、けど、あんたの戦いは無駄じゃないぞ。私の心に熱く響くモノがあった。感動した。うん、私もこの夏、ぜったいに恋をしてやる。
ウェイトレスは心の底から、鳥羽に哀悼の意を送り、その健闘をたたえていると、その鳥羽がとんでもない行動にでやがった。

左手で前髪をかき上げながら、顔を起こして一言

「くぁーーっ!!  ったく、失敗かよ。このガキが恥ずかしいセリフいいやがってよ」

しかも右手に握られていたハンカチはいつの間にか、洋モクのソフトパックとブックタイプのマッチに変わっていた。

「…え? あの鳥羽、失敗って何?」
「決まってんだろ、てめーの浮気ネタ掴むっつーか、出穂への愛を確かめたんだよ。ったくよ、てめーがひっかかったら、「やっぱり、あなたの出穂への愛は、そんなモノだったんですね」ってな具合に、別れさせようとしたんだよ」
「…ああ~、テストしていたんだ。やっぱり鳥羽は優しいな、心配しなくても大丈夫だよ、僕は出穂を裏切ったりしないから」
「何か誤解してるだろ。オレは出穂とてめーの仲を心配したんじゃなくて、出穂に手をだしたてめーをハメようとしたんだよ。卑怯な手段を使ってもだ。それがなんだよ、正々堂々と宣言しやがって、そしたらオレだって、隠し事なんかできないじゃないかよ」
「隠し事?」
「ああ、隠し事だ」

そういうと、鳥羽は右手の動作だけで洋モクを一本口の端に咥える。
そこからは、いかにも一連の動作といった馴れた動きで、ブックマッチをちぎらずに親指で折り曲げ、着火板に擦りつけて着火。
煙草に紫煙をともすと、ブックマッチを無造作に握って火を消して見せた。

「と、鳥羽、ちょっとタバコはダメだって」
「喫煙席だぜここ」
「そう言うことじゃない、うるさいかもしれないけど、一応二十歳の過ぎた身としては、未成年の喫煙を黙認する訳にはいかないんだよ」
「なら問題ないぜ、オレこれでも22の成人男性だぜ、主観的にだけどな」
「は?  いやいやいやいや、そういう言い訳は通じないし、僕が鳥羽の想いにこたえられなかったことはすまないと思うけど、そういう行動はよくないよ」


「オレは真剣なんだ。旗瀬も真剣に聞いてくれ、…それが隠し事なんだよ。オレは一度死んでるんだ、これから4年後のお前と同じ二十歳の時に」

はい? …“4年後”に一度死んでいる…
鳥羽の隠し事に、明らかに困惑している旗瀬。口端の洋モクを奪おうとして、左手を伸ばしたまま固まっている。
その困惑ぶりに満足したかのように、鳥羽は煙を吐き出しながら隠し事の続きを語り出した。

「オレは死人なんだよ。天国にも地獄にも行けず、ズレちまったこの世をやり直している、死人なんだよ」



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テーマ: 自作小説
ジャンル: 小説・文学

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