ライ麦狼の寝床

このブログはフィクションであり、実在の (以下略

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走り書き 一人称

DATE: 2008. 12. 31 CATEGORY: 小説
落ちる

そんな感覚を認識した次の瞬間、
首が勝手に跳ね上がっていた。
反動で脳がシェイクされ、
儚いまどろみが消え去ってしまった。

智也「ほぇ?」

自分が脳裏の銀幕に何を投影していたのか。
思い出そうとすればするほど、
薄れてゆくもどかしさ。
何か、朝食のようなモノを、
食べていたような・・・・・・・・・・・・・・・
言葉に出来ない程ぼんやりとしたそれは、
柔らかな縁取りと温もりを持っていながら、
ひどく悲しいかったように思える。

僕は、そこまでしてようやく気付いた。
自分が寝ていたらしい、と。

参ったな、と1人ごちて首をさする。
目の前の机には志望する私立大学の赤本。
解きかけの英語長文問題が、
ほぼ無傷のままふんぞり返っている。
たぶん英字新聞の切り抜きなんだろうな、
そういう出題の多い大学だし
「米国のプロアメリカンフットボール球団の経営状況」
なんて、不必要にマニアックな内容だけど、
切り抜きの元となった新聞は、スポーツ紙じゃなくて経済紙なのかな
文脈や文法なんかは、堅いぐらいに素直で、
受験生をセオリー通りの防衛陣形で迎え撃っている。

むー
それゃ暖房の効いた図書館だけど、
こんな使い古しの戦術をとるザコ敵相手に、戦闘放棄の居眠りなんて、
受験と戦う者としてあるまじき事だよ。
こんなだから、先週のセンター試験もダメだったんだよな。
そう自戒する僕の視界に、
すっと、ルーズリーフが差し出された。

そこには、丸っこい文字で、

『大丈夫? 君も何か聴く?』

隣に座る卯月からだ。
そちらを見れば、
彼女はイヤホンを片側だけ外して、僕に音楽を進めてくる。

僕が居眠りをしていたここは、私語厳禁の学校の図書館。
まして今は、自由登校期間の三年生への開放時間中だ。
まがりなりにも、進学校を名乗るこの学園だから、
意外と利用率は高くて、席の大半が埋まっていた。
辺りはペンの走る音と、ページをめくる音、
そして差し迫った受験本番に挑む、皆の気迫が満ちている。

そんな戦時下と呼べる状況だと、
隣同士の席でも筆談となってくる訳で。
と同時に、こういった半分遊びじみた卯月とのやり取りが、
必要以上の緊張感をほぐしてくれる気がして悪くない。
何と言うか、卯月とこういうやり取りができるのも、高校生のうちだしね。

僕はルーズリーフを受け取り、その端の方に言葉を書き込む。
こうして、肩を寄せ合っての密やかな文通が始まった。

『いや大丈夫。それにやっぱり音楽は遠慮する――

そこまで書いて、返信しようかと思ったけど、
ちょっとコレだけじゃ、せっかく心配してくれた卯月に対して、
無味乾燥すぎるよね。ふむ、すこし書き足しますか。

――ちなみに中身は誰の曲?』

卯月から戻ってきたルーズリーフの便りには、

『 癒し系
  ボサノバ スロージャズ アイリッシュ
  コブクロ 仙台貨物 ゆいこ エンヤ

  燃焼系
  ロボットアニメの洋楽メタルアレンジ
  スパニッシュロック JAMプロ ナイトメア 』

相変わらず妙なラインナップだよな。
…しかも一部同一人物だし

中学の頃から、僕らはテスト前なんかに机を並べて
一緒に勉強する事がたびたびあった。
比較的理系の得意な僕は数学と理系科目を、自称社会派体育会系の卯月は英語と社会系目を、互いにアドバイスしながらの勉強会。
決まって卯月はBGMを聴きながら勉強して、
僕は勉強以外の物を遮断して取り組んでいた。
それは今でも変わらない。
ちょうど今だって、本番間近の大学受験に向かっての勉強をしている。
もちろん、僕がこの場の空気を借りて集中しようとしたからだ。

『悪い、僕に付き合わせる形になって。
卯月の場合、家の方が集中できるんじゃないのか』

少しばかり、僕にはそんな罪悪感があった。
無難に、私立の経営学部を希望する僕なんかと違い、
卯月はもう少し高いハードルを越えようとしている。
防衛大学。
自衛隊の事はよく解らないけど、士官を養成する特別な場所らしい。
その中でも彼女は、特別枠というモノを手にしようとしている。

『そんなことない。ここの方が良い。
 家だと集中は出来るけど、不安になる。
 君だけでなく、他のみんなも見られるから落ち着く』
.

『?・・・ごめんよくわからない』

『家だと1人っきりだから不安。
 でもここだと、みんな頑張っているんだな、って
 1人じゃないんだな、って落ち着ける』

他者を見て自分を追い込む僕。
他者を見て自分を安心させる卯月。

『判ったような判んないような』

僕にしてみれば、皆が頑張っていれば、
それだけ競争率が高くなる気がして、自分もやらねば、
と言う加速がつくんだけど。
もちろん志望大学が違ったなら、あまり関係のない、
まるっきりの杞憂なのも判ってはいるんだけども。
女の子の不安は理屈じゃない。
そのくらい判っていたつもりだけど、
彼女の不安に気付けなかったのは
彼氏として落ち度だよね、これ。
そう僕はまたも自戒した。
まぁ、彼氏彼女の関係になって4年近く立つけど
いまだに恋人の新たな一面が見えた事は、
素直にうれしいかったりするんだけどね。

だから気が緩んだと思う。

『卯月は1人なんかじゃない。
 何処だって、いつだって僕は卯月と一緒だよ』

うっかりこんな台詞を書き込んでしまった。
しかも僕がこのミスに気付くのは遅かった。
受け取った卯月が数秒間フリーズした後、
耳まで紅く沸騰しながらこっちを凝視。
それでも僕は気付かない。
卯月が辺り窺いながら、ルーズリーフを丁寧に折りたたみ始めて、ようやく気付いた。
今時、恋愛小説どころか
BL小説にも出てこないほどの恐ろしい台詞。
もう身の毛もよだつくらいの羞恥心に襲われる。

智也「まて、返せそれっ!! 捨てろ、焼き捨てろ」
卯月「ダメ渡さないよ。これは大切にとって置いて、
   お守りにするんだから」

智也「やめろよ、そんな恥ずかしい事」
卯月「恥ずかしいけど良いんだよ。それに、
   君の台詞のほうが、もっと恥ずかしいじゃない」


僕は、卯月からそれを奪い返そうと手を伸ばす。
たけど彼女もそれを阻止しようとする。
折りたたんだ大切なお守りを、両手で包み込んで、
身体ごと反対側へのけぞった。

卯月「きゃっ!!」
智也「ばか、危ない」

転倒。

バランスを崩し、椅子ごと後ろに転倒する卯月。
両手でルーズリーフを包み持っているため、
受身がまったく取れない。

恐怖と落下する感覚に貫かれ、無防備な後頭部が
床に―――――叩きつけられることはなかった。

智也「ったく、気を付けろよ」
   お守りなら別のあげるから」
卯月「あ、ありがとう」

寸での所で、僕の右手が卯月の制服を掴み引き寄せていた。

卯月「その・・・何と言うか、本当に・・・・・・ありがとう」

急にしおらしくなった卯月。またも耳まで沸騰して、
僕の顔を上目遣いでちらちらと窺う。
う、こっちまで赤面しながら、僕は卯月を椅子ごと起こしてやる。
いつもハキハキしている分、卯月のこういう仕草ってぐっとくるんだよね。

…夏の時も、こんな卯月にくらっとキて…かなり勢いで……(恥

智也「いいって、それより大丈夫か?」
卯月「うん。・・・君が、掴んでくれたから、大丈夫だよ」

あああ、もう可愛すぎるぞ。
卯月の声と仕草は、ここが図書館じゃなかったら思いっきり抱きしめたくなるくらい、
たまらなく愛おしい。くはぁーーー。

…でも九月に、無理に迫って怒られたからな~
がまん、がまん。

そんな僕らに、別の声がかけられた。
少し甲高い少女の声。


鈴音「それはそれは、大丈夫で良かったですわね。
   ですが生憎と、お二人のチチクリあってる
   ラブラブシーンを見せつけられた私共は――

鈴音「――全然
   大丈夫じゃありませんのっ!!」

智也「と、戸越」
卯月「鈴音、そんな、・・・チ、チチクリあうだなんて」

クラスメイトの戸越鈴音が仁王立ちしていた。
戸越の背後には、図書館のみんなを代弁する
怒りの炎が半実体化して、ゴウゴウと揺れている。

鈴音「少々気が立っておりますの。
   この場の皆さん総出で、お二人をフルぼっこ、
   もしくは簀巻きにして八つ当たりしたい程に」

智也&卯月
「「それ、少々って言わない。言わないから」」

鈴音「あら声までハモらせて、もしかしまして
   イク時も2人同時なんていうファンタジーを
   実現しちゃったとか仰りませんわよね」

…すみません、実現しちゃってます。
最近ご無沙汰ですけど…

鈴音「そんなにラブコメしたいなら、とっとと
   お外にでられて、好きなだけトースト咥えて
   衝突でもして下さいましっっ!!」


智也「トースト? あれ、何かあったような?」

ふと夢の残滓が脳裏に走り、僕は思わず呟いてしまった。
次の瞬間、図書館全体に戦慄が走った!!。

鈴音「ま、まさか、伝説的なシチュエーションまで
   経験済み・・・・・・卯月、何て恐ろしいコ」


戸越だけじゃ無かった。この図書館にいる皆が、
まるで化け物と対じするかのように、僕らから距離をとる。
その動きは訓練された兵士みたいだ。


智也「無い無い、そんな経験無いよ。
   ほら卯月も、ちゃんと否定しろよ」
卯月「う、うん。まずは落ち着きなよ鈴音」

卯月「そりゃ確かに私は、中2の夏休みに転校して
   きたけど、そんな少女漫画みたいな事、
   現実に起きる訳が無いじゃないか、ね」

鈴音「そう、ですわね。流石に咥えパンなんて、
   フィクションでなければ、起きる訳の無い
   妄想上の現象です。失礼いたしましたわ」

卯月「そうだよ、起きる訳ないよ。
   第一に、智也の家はお隣だよ。
   窓越しに部屋から話が出来るくらい」

窓越しに部屋から会話。
そのキーワードを打ち込まれ、皆の警戒レベルはデフコン4へと上昇する。
まったくの逆効果……

い、いや、よく原野から、「いったいドコの古いドラマだ」ツッコまれているけど
最近の手狭な住宅事情の関係で、そういう立地条件はなくはないんだぞ。
…大概は間取りの段階で回避するらしいけど…

皆の「警戒」を「臨戦態勢」まではね上げやがった卯月は、その事に気付かない。
逆効果な弁明を追加砲撃。

卯月「ケンカしている時以外は、最初の登校から
   いつも一緒に登校してるんだもん、
   朝の弱い智也を、部屋まで起こしに行ってあげたりしてさ。
   咥えパンなんて経験したくても出来ないよ」

・・・・・・、
・・・・・・・・・・・・・・・
もう火に油を注ぐどころか、周辺の油田を一斉爆破したような発言。
もう皆が僕らに向ける視線には、共に受験と戦う戦友への連帯感なんてない、

こいつら、"フィクションでなければ、起きる訳の無い妄想上の現象"を、毎朝実践していやがった。

という魂の叫びが、質量を帯びるくらい含まれていた。

もはや、僕らに対して怒りを通り越し、恐怖や絶望さえも抱いている。
その怯える様は子羊なんて、甘いモノじゃない。
前も後ろも解らない初出撃の戦場で、返り血にまみれた死神に出会ってしまった、魔の8分を超えられなかった新兵のようだ。

卯月「・・・・・・あれ? どうしたの鈴音も皆も」
 
きょろきょろと周りをみる卯月。
ダメだ。どうやら愛しい死神の片割れは、自分の圧倒的な恐怖を、
まったく自覚していない。

智也「はぁ先生、ちょっとなんとかして下さい」
僕は監督役相模先生に助けを求める。

だが相模先生は好々爺な笑顔を浮かべて、
親指を上に向けた拳を、こちらに突き出すだけ。
・・・流石は教職歴20数年、どうやらご理解のある教員らしい。
「青春を謳歌せよ」と無言で後押ししやがった。

智也「・・・・・・出るか」
卯月「・・・・・・・・・そうだね」

この場に留まる事も、誤解を解くことも、
僕らは諦めて図書館を後にする。



分厚いガラスの二重扉を抜ければ、湿った冷気が包む中庭にでる。
昨日の夜からの水っぽい雪は、まだ止んでいなかった。
寒い割には雪に不慣れなうちの地元らしく、下手くそな雪かきの所為で、
中庭は全体的に茶色く、ドロに薄汚れていた。
それは、中庭を横断して新校舎と旧校舎を結ぶ、屋根付きの渡り廊下も同じ。
押し寄せる土混じりの雪解け水で、マダラ模様に半分以上が水浸しになっていた。
家に帰るなら一度左の新校舎へ入いって、昇降口で靴に履き替える必要がある。
僕はそのつもりだった。
学校指定のPコートに袖を通しながら、水溜りを避けながら左へ行こうと―

けど、
僕のコートの裾を、卯月がぐいっと掴んで引き止めてきた。

智也「ん? どうした?」
卯月「・・・うん、よ、用事と言うか何と言うか。」

卯月「その、と、図書館以外にも、
   君が集中出来そうな場所があるんだよ」
智也「ああ、駅前のファミレスか? 
智也「このあたりじゃそこくらいしか――― 」
卯月「違うっ!! 旧校舎、・・・・・・
   ・・・旧校舎にあるんだよ。お願い」
智也「お願いって・・・」

僕がファミレスを提案しかけると、卯月は懸命に否定する。足元の水溜りで上履きが濡れるのも構わず、僕に近付いてすがる様に引き止めた。

その必死な引き止めに、僕はちょっと驚きながらも、断る理由なんてなかったから、

智也「解ったよ・・・卯月がそういうなら、
   僕はかまわないよ。でも旧校舎って・・・」
卯月「私の・・・部室だよ」

案内されたのは旧校舎1階の一番奥。演劇部と女子護身術同好会の、合同部室の大部屋だった。
二つとも卯月が、年末まで部長を務めていた部活で、
3年間の思い出の詰まった場所だ。
ああなるほど、と僕は一人納得していた。
受験で不安になっている彼女は、慣れ親しんだ部室で落ち着きたいのだと。
だから、先ほどの慌てた様子も理解できる。
もう直ぐ卒業な訳で、少しでも思い出作りをしたいだろうし、ここなら卯月も安心して勉強が出来る。
それは、僕にだって言えることだしね。
旧校舎は文化部の部室と、普段は使わない特別教室ばかり。だれにも邪魔されること無く集中できる筈だ。
それに、この部室は他とは違う。
寝泊り出来る位に、居住性がよく出来ているんだ。
もともと衣装の管理や着替えのために、
部屋全体が土足厳禁で掃除も行き届いている。
しかも古いカキワリで区切られた一角は、畳が敷かれて炬燵や暖房も完備。
ちょっとした旅館の和室みたいなんだ。
放課後は女子達のたまり場になっているのを、僕は何度も目撃している。

まだ卯月が持っていた鍵を使い、部屋の電灯も付けずこっそりと中に入る。
勝手に納得している僕と対照的に、後から付いてくる卯月は顔を伏せ小刻みに震えていた。
暖房や炬燵の電源を入れている時も僕に震えを悟られないように、必死に押さえ込もうとしていた。それでも震えは止まらなかった。

だから、卯月は行動に出た。
僕を押し倒す。
僕がコートを脱いで、無防備な体勢で炬燵に入ろうとしゃがみかけた時だ
卯月は上から覆いかぶさる様に僕の腕を掴み、そのまま畳みに押し倒す。

智也「ちょっと、何だよ卯月、どうし―――」
卯月「言ったよね、別のお守りくれるって。
   だから頂戴、私に君をお守りに頂戴」

何が何だか解らない。
部室自体の灯りは点けてなく、
光源は和室用の小さな電灯と、窓からの雪の日の日差しのみので、少し薄暗い空間。
押し倒された僕の視界からは、卯月の顔はよく見えない。彼女の長い髪と逆光の所為で、視覚では何も読み取れなかった。

でも、・・・・・・いや、だからこそ、視覚以外の感覚で卯月を強く感じていた。

耳の側で発せられる、微熱のこもる湿った吐息を
蟲誘的に香る、髪と汗の甘い刺激を
衣服越しでも主張する、押し付けられた柔らかさ
掴まりた両手から伝わる、焼ける鼓動と体温を
そして頬にいくつも落ちてくる、熱い涙の滴を

卯月「我慢できないんだよ。恐くて、
   ・・・恐くて、恐くて、本当にせつなくて」
卯月「だからお守りとして、君を頂戴。
   そうしたら私、頑張れるから」
智也「卯月・・・」
卯月「軽蔑しても良いよ。好きだからじゃなくて
   ・・・ううん本当に君の事好きだよ。
   けど、一番の理由は、恐いからなんだ」

卯月「そんな理由で、抱いて欲しくて
   もう、たまらないんだよ」
卯月「さっき助けてもらった時、
   火が付いちゃったみたいで、もう・・・」
卯月「もう・・・抱きしめてもらう事で、
   頭の中いっいなんだ。だから智也、ね」

互いに両手の使えない体勢のまま、卯月から僕への口付け。
触れ合うだけで満足できるはずも無く、卯月は強く求めて舌を絡めてくる。
もう卯月に理性なんて残っていなかった。
対して僕は、自分の片隅に冷静な部分が残っていて、それが許せなかった。
だから、力ずくで卯月の手を振り払って、
そして――――



智也「もう止まらないからな」

そう、自分に言い聞かすように宣言すると、僕は力づくで卯月と体勢を入れ替えた。
攻守が代るかの様に、卯月の柔らかな身体を畳みに押し付ける。
今度は僕が卯月の唇を奪う番だ。

不器用に分け入る僕の舌と、吐息と共に迎え入れる卯月の口内。
絡み合う舌と、交じり合う体温と唾液。
甘いと感じるのは、錯覚だろうか。

軟体動物のようにぬめる舌が、歯並びを確かめるように、互いの歯茎や上顎をなぞりあう。
その隙に、僕は右手を彼女の下半身へと下げてゆく。
性急過ぎると解っていても、もう押さえなんて効かなかった。

卯月「んっく、っあ、・・・なぅ、まって、そんな、まだぅっん、ちょ」


スカート越しなんて、まどろっこしい事はしない。
スカートの中ほどを掴むと、腰の方にたくし上げる。
卯月が身をよじって抵抗。
僕の方も一瞬、皺になるかも、とも思いがよぎったけど構うもんか、ここは強引に無理にめくり上げる。
卯月の抵抗の甲斐なく、汗ばんだ太ももと、既に湿った白いレースの下着を剥き出しにされた。
もう桜色に発熱していた卯月の太ももを、冷え切った智也の右手が掴んだ。

卯月「ひゃうっ、ぁっっっ!! 冷たっ!!」

途端、卯月の身体を駆け上がる、冷たくも甘美な衝撃。
その肢体は、意思とは無関係にぴくっと、意外なほど大きく跳ねあがった。
思わず驚き、唇を離して目を合わせる二人

智也「えーと、もしかして・・・感じた?」
卯月「ち、違うもん」

耳元で囁けば、卯月にぷいと、そっぽを向かれてしまった。
まだ僕らは、数えるくらいしか交わった事なんてない。
だからどうしても、こんな初々しいやり取りになってしまう。
そんな仕草を可愛いと思いながら、僕は汗ばんだ彼女の太ももの質感を味わう。
女の子らしいむっちりと脂肪の乗った柔肌だけど、健康的な卯月らしく、強く押せば奥から伝わる筋肉の張りと躍動がある。
肌は理細かく、汗に濡れてシットリと、掌に吸いつくような感触。そのまま上に向かって、撫で上げていくと、

卯月「まって、ちょ、っダメ、んぁっ!」

咄嗟に閉じられようとした秘所まで、一気に掌をこじ入れる。
そこは汗で湿り、太ももよりもムッ熱が篭り、まるで温泉の湧き出る洞窟のようだ。

卯月「はぅん、もぅっ、ぁぁぁん」

指差で引っかくようにして、下着越しにソコをこすれば、卯月の吐息は艶に染まる。
そして、ソコの奥から熱い何かが溢れ出てくる。純白の生地は一層のシミが広がり、透明度を増して桃色の部分を透かしてみせた。
身体を起こし、僕はその変化を確認する。
もう大丈夫・・・かな? 
正直、経験不足の僕では判断が付かない。

智也「もういいかな? もうちょっと濡らしたほうがいいかな?」
卯月「う~、し、知らないよそんな事っ!!」

怒られた・・・むー、素直に質問しただけなのに・・・
そんな卯月のリアクションに、僕はちょっとイジワルをしたくなる。
下着を脱がさず、手早くクロッチ部分を横にずらすと、前触れも無くツプっと中指をナカへ挿入する。

卯月「あっ、きゃ、くっぅぅぁぁあああ―――っっっっっっっっっっ!」」

その瞬間、卯月はほとんど絶叫に近い声で喘ぎ声を響かせる。
と同時に身体の方は、挿入され指を待ちわびた、とばかりに熱い肉壁の緊縛で歓迎する
熱と体液と快感で満たされたナカは、きゅうきゅうと僕の中指を締め上げ、細かく震え続けた。

智也「もしかしなくても、・・・イッた?」
卯月「っ!?・・・ぁぅ・・・っ!! っ!!」

羞恥と刺激と余韻のあまり声も出せず、また顔をそむける卯月。
そんな彼女に僕は容赦しない。
まだイッたばかりで、甘い痺れが走っている卯月のナカを、刺さったままの中指でカキまわす。
しかも、余った残り4本の指も使って、陰唇に爪を立ててこすり上げてやる。
特に皮を被ったクリトリスは、根元からしごく様に、丁寧に攻略する。

智也「イッたんだろ、ほら、イッたって素直に言いなよ、ほらほら」
卯月「・・・っないもん。くはぅ、イッてなんか…、っああ!!」
智也「でも、こんなに熱くて、こんなにあふれてるのに。ほら、こんなに音がする」

ニチョニチョと、卯月のソコからは粘質な水音が聞こえて来る。
しかも静かな旧校舎だから、その嫌らしい音が、実際よりも周囲に響いている錯覚を覚えてしまう。
いや、錯覚なのか現実なのか、もう卯月には解らなくなっているんだろう。
自分の恥ずかしい音が、吐息が、抑えきれない艶声が、学園中に響いている気にさえなっていた。

卯月「いやぁぁぁ・・・ぅああっ、ダメ、・・・っちゃう、聴こえちゃうの、こんな・・・ダメなのぃ」

言葉ではダメと言いつつも、彼女のナカは、次第に僕の指を、奥へ奥へ引き込むように動きだし、ついには、中指を根元まで咥え込んでしまった。
そのぶん押し出された愛液は、下着で吸い取りきれるわけも無く、太ももや尻肉を伝いスカートの内側へ垂れていく。
僕の指の動きだって加速していく。
中指の先でザラついた天井をこすりながら、親指と人差し指でクリトリスの包皮をめくり上げる。緋珠を剥き出しにしたって、攻め立てる動きは減速なんてしない。

卯月「うはっ…あ、あぁぁぐ、ダメ、強いよ、強すぎっ!!
   ダメ、もうらめぇん、っぅぁああっっっっっっ!!」

ここが旧校舎の一室という事も忘れ、卯月は雌の喜びを叫んでいた。
身体もまたぴく、ぴくっ、と愛蜜を飛ばしながら大きくナカが痙攣。うねるように指をきつく締め上げる。


智也「う、卯月、声が大きいって・・・え?」
卯月「うはっ…あ、あはぁぁ…、ぁぁうは・・・」

叫び終わると、もう僕の声なんて届いていない様子だ。
焦点も定まってないし、口も半開き。口の端から涎をこぼし、快感に震えている。

乱れた息には、熱と女の匂いが篭っていた。
まだ暖房の効いていない寒い室内だから、小さな口からこぼれるそれは、温度差で白く霧となって吐き出されている。
普段子供っぽい卯月とのギャップもあって、それは途方もなくエロティックだ。
僕に我慢なんて出来るわけが無い。

がっつくなんてもんじゃない。自分でもヒクくらいすごい勢いで、制服のズボンとトランクスを脱ぎ捨てた。
もう充分すぎるほどに勃起した怒張。
それを、力なく仰向けに寝ている卯月の、ぬかるんだ入り口にあてがう。

左手で彼女の左脚をしっかりと抱え込み、上にもちあげるような、変則的な正常位。
未だ意識の白濁した卯月に声をかけることなく、無造作にナカへと割り込んでゆく。

智也「っく、きつ」
卯月「かはっ!!、ぁぁふ、ぉ・・・ぁん、はぁぅぅっっ!!」

二度の絶頂で、あふれるほどの愛液と燗熱に満ちている卯月のナカだけど、
経験自体が少ないために、まだこなれる事は無く、キツく怒張を締め上げる。
それは、同じく経験の少ない僕にとっては、一瞬でも気を抜けば、直ぐに果ててしまうほどの快感を生み出している。

思えば、9月のはじめに交わって以来、4ヶ月ぶりの逢瀬。
一度味わってしまい、忘れようとしても忘れられなかったあの肉欲を、今再び自分が支配している。
自分以外、誰一人として知らない卯月の身体を、自分の下に組み敷いている。

怒張から伝わる、蕩けるような体温と感触だけじゃない。絶え間なくこみ上げる征服感もまた、僕の神経を快感で焼き切ろうとしてくる。

歯を食い縛り、ゆっくりと、ゆっくりと奥へと分け入り、遂に怒張の全てを卯月に埋め込んだ。
ずごい。
僕が動いてなくとも、ぬめるナカ自体が波打つように様に振るえて、絡み付いてくる。

卯月「っはぁ、・・・ぁぅ、・・・はぅぁ・・・っ」

金魚のようにパクパクと酸素を求める卯月。乱れた呼吸と連動して、その胸も荒く上下に揺れる。
その揺れる膨らみを我が物にしようと、僕は彼女のブラウスのボタンに手をかけた。
今にも果ててしまいそうなくらい、快感に飲み込まれてはいるけど、こだわりは忘れない。
襟のリボンタイは残して、わざと胸元からお腹にかけてのボタンだけを外し、ブラも上にめくり上げるだけ。
するとブラウスの隙間から、強調されるように双丘がこぼれ出てくる。
やっぱり、このシチュは譲れない。卯月の胸の魅力を何倍にも引き出してくれる。

身長の割にボリュームのあるそれは、もうほんのりと桜色に発熱し、先端は硬く尖っていた。
僕はその膨らみを鷲掴みにすると、

智也「い、いくよ!!」

心地よさに思わず声が上ずるけど、全力で腰を振り出した。

卯月「ひっ?! あっ、ぁぁぁ、あんっ、は、はんっ! くぁぁっ!!」
智也「はあっ!‥はあっ!‥はあっ!」
卯月「あっ、それ、ダメぇっ…ぇんっ!! きもち、よすぎて、ぁぅ!!変になるっ…」

卯月が大声で乱れる反応に、僕の腰の動きも激しさを増す。
胸を掴む右手も、尖った先端を指先で潰すように持ち代えた。

内臓を揺るがすような衝撃と、全身がバラバラになりそうなほどの快感が、卯月の体中を駆け巡り、ハウリングを起こす。

卯月「ひゃんっ!ひぁあああっ!」

既に限界に近かった彼女は、あっけなく絶頂を迎えてしまった。
またも意識が飛んで仰け反る卯月に、僕は休む暇を与えなかった。

卯月「えっ!? ひっ! っ! っ! んっ! ダメぇ! 凄いの…ふぁっ!」

達したばかりで敏感になっている卯月の中に、流れ込んでくる連続した快感。
僕は身体をやや後ろに倒すと、今度は左手を彼女の腰に回し、腰を持ち上げるようにホールド。下から突き上げるように腰を打ち付ける。

卯月「ぅあんっ!ひぅ、こんな、あぅっ!! いいっ!、凄いのっ!!」

狂ったように喘ぎ、悶える卯月。もう、ここがどこであろうと構わない様子。身体を仰け反らせ、ひたすら女の快感に没頭していく。
僕もまた、腰だけでなく、背中や四肢の筋肉もフル稼働させ、怒張を彼女のナカに打ち込むことに没頭している。
気持良いとか、彼女を悦ばせたいとか、それらさえも、どうでも良くなってきた。
ただひたすらに、怒張を打ち込んでいく。
ああ、もうダメだ。
汗と体液を飛び散らせ、卯月を追い詰めてゆく僕だけど、僕自信も彼女にグイグイと締め上げられ、焼け切れそうなくらい追い詰められている。
熱くうねる蜜壷から逃れられなんてしない。


卯月「あっ、ま、またっ!ゃんっ、もぅ! もぅダメ、あ、頭が、しびれるっ…これ以上、もぉっ…!」
卯月「無理、らめ・・・も、もうゆるして!! ひっ?! あんっ、ん、あぁぅ、あん、ああーーーっ!!
   ゆるひ、ひゃぃんんっ、ぅぁあう、ああぅぁぁぁあーーーー!!!」

智也「くっ!!!」

きた
何度目かも解らなくなるほどの嬌声を発し、卯月が絶頂を迎える。それと同時に、ナカが収縮。
蠢き、搾り取られるような快感。
次の瞬間、僕の頭の中で閃光が弾け、腰がとろけるような感覚と共に、煮えたぎった熱い精を放ていった。



 

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テーマ: 自作小説
ジャンル: 小説・文学

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